途方に暮れてる

愛について書く

20170702

 

頭がかあっと熱くなったような感じがして、激しい高音が耳の奥と脳みその内側を犯す。うるさい、と感じてからそれが耳鳴りであるということに気付くまでに時間があった。胸の真下のあたりが洗濯機みたいにかき混ぜられる感覚がしたかと思ったら急に身体が軽くなる。ふわり、衝撃と共にわたしの身体は駅の硬い地面に叩きつけられた。途端にあたりが騒然として、大丈夫ですか、大丈夫ですか、とわたしの周りに人がたくさん集まってきたのが熱としてこちらまで伝わってきた。わたしはなぜだか辛くて、ごめんなさいを繰り返しながら嗚咽を漏らして、涙がとめどなく溢れる。わたしの手を知らないおばさんがそっと握ってくれた。爪が赤い。赤、というか、ミックスベリーのフルーツジュースをどす黒くしたような色だ。少し趣味が悪い。でも優しい。なみだがぼろぼろ落ちて地面を濡らす。地面、きれいじゃないのにな。化粧してこなくてよかったね、とどこか冷静な自分が笑った。

 

朝から起きることができなくてベッドの上で、気がついたら正午を過ぎていた。10時半に家を出るから9時くらいに起きようと思っていたのに、13時を過ぎても身体は全然動かない。立ち上がようとしても倒れるし、眠気と倦怠感がすごくてどこにも力が入らない。壁の高い位置にかけてある時計を確認するごとに長針は巡っていて、浅い睡眠と覚醒を繰り返していたら14時を回っていた。

本当は今日は都議選に行って美容院に行って、お世話になっている先生の展覧会を観に行かなくてはならないのだ。わたしが今住んでいる場所に引越しをしたのは3月頭だったから、まだ選挙の住民票?が移っていないらしくて、前に住んでいた家の近くの投票所まで行かなくてはならなかったし、美容院はその投票所の近くだった。はやくいかないと時間がなくなってしまう。階段の昇り降りさえ、誰かに支えてもらわないとできない。でも、行かなきゃ。

ふらつきながらなんとか駅に行って埼京線のホームに行って電車に乗って椅子に座って、そして爆睡。乗り換え駅は乗り過ごしそうになるし大変だったけれどなんとか投票所の近くの駅に着く。でも美容院の予約が18時半になってしまったので(今15時)、先に展覧会に行っちゃうことにした。また電車へ。

目当ては目黒。JRに乗って、ついて、しかし駅から美術館までの道のりがわからず、地図を見ているうちに目眩と吐き気と耳鳴りが激しくなる。駅員さんに助けを求めようとして、わたしは倒れた。

 

救急車の中は思った以上に普通で、乗せられた台車?のベッドも違和感のない硬さだったし、期待していたような病院特有のあの薬の匂いもなかった。いろいろなことを聞かれたけれどよくわからなかった。ひたすら、大丈夫です、ごめんなさい、を繰り返していたように思う。疲れとか心理性のものが強いでしょうってお医者さんには言われた。しばらくして母が迎えにきて、わたしは実家に強制連行された。実家では祖父母が荒い語気で何かをまくしたてていたし、妹は「は?」としか言わない。

 

わたしは無理をしているのかな。学校もバイトもそれ以外の活動も本気でやってるつもり。お金ないから家族のために頑張って奨学金もらって、みんな忙しいだろうから雑用もこなして、小学生に殴られても暴言吐かれても笑顔でいて、自分が辛くてもこころ病んでる人に優しくして、わたしは誰のために生きてるんだ?わたしは偶像じゃない。でも、そう言ったときに、この世界の誰もが偶像じゃないっていうことわかっているから、わたしはどこに捌け口を得ればいいんだろう?みんながつらいのはわかってるんだ。わたしはその力になりたい。わたしもつらいけど、わたしの辛さは他人の辛さに比べたら小さいものだから。でも、自分の辛さは自分だけのものだっていうこともわかってる。わたしは役に立ちたい。わたしは人の役に立つことで人に赦されたい。でも他人にゆるされているじぶんを赦せない自分がいたら、じゃあ、どうすれば自由になれるの?

 

倒れている間に色々考えた。今は心臓をどきどきさせながら横になっている。ほんとうはしにたいよ。でもしにたいひとなんてこの世界中いくらでもいるし、これを読んでくれる人もしにたいかもしれないし、でも。いきていくしかないから、わたしは言葉を使うんだと思う。

だけどいまは、すこしだけ眠りたい。